TOP>WORKS>「女子バレー部の後輩たちに…」5話

――――バシンッ! バシンッ!


ボールが跳ねる音。

埃っぽい冷たい空気が漂う体育館ロビー。

僕と女子バレーボール部の1年生は場所を移して基礎練習を行う予定だった。


「ぐすっ……えぐっ……

 ご……ごめん……なさいっ……」


体育館ロビーにある女子トイレ。

僕はその女子トイレの個室にいた。


「ほらっ! こっち向けろよ!」


「あはっ♪ こいつの尻、ちょう真っ赤ー!」


女子の楽しそうな罵声。


「ぐすっ……ぐすんっ……

 いだい…………いだいよぉ…………」


僕は苦痛に悶えた。


狭い個室の中に、僕と女子3人組の計4人。

もちろん3人とも1年生だ。


僕は便器に手をつき、お尻を突き出す格好を強制されていた。

ズボンもパンツも無理矢理はぎ取られた。

僕のお尻は内出血を起こし、赤紫色に腫れ上がっていた。


――――バシィッ! バシィッ!


「この! えい! この!

 ほらー! もっと泣けよー!」


僕はあまりの激痛に涙を流す。

しかし、女子たちは僕のそんな様子を全く気にも留めない。

それも当然、彼女たちは僕に折檻を行っているのだ。

僕に苦痛を与えることが彼女たちの目的なのだ。


「見てよこいつの顔ー!

 涙と鼻水でグチャグチャで、超汚いんだけど(笑)」



どうしてこんなことになったのか。

体育館で沙織の号令を受けてから、僕は1年生部員の荷物をロビーまで運んだ。

しかし案の定、練習再開時刻に遅れてしまったのだ。


僕を待っていたのは1年生部員からのお説教。

そして、体罰だった。


彼女たちは僕を女子トイレに閉じ込めた。

僕はここで1年生部員全員からお尻を叩かれることになった。

1人30回ずつ、少女たちは平手打ちを食らわす。


バレーボールで鍛えた平手打ちは強烈だった。

僕はみっともなく泣きわめいた。

肉体的な苦痛はもちろん酷い。

しかしそれ以上に、精神的な苦痛が酷かった。


「3年のくせに、情けないよねー。

 1年女子にお尻叩かれて泣いてるんだよ?

 普通怒って抵抗するよねー」


「だよねー!

 なのにコイツ、怒るどころか、

 『ゆるして〜! ごめんなさ〜い!』

 ……って年下のうちらに媚びてんだよ?

 ほんっと男として終わってるよね(笑)」


2歳も年下の後輩に尻を打たれ馬鹿にされる。

彼女たちの言う通りだ。

僕は男性として終わっている。

僕はもうキャプテンでもなければ、先輩でもないし、一人前の男ですらない。

ヒエラルキーの最底辺。

虐げられる家畜。

それが僕だ。


「おーい、交代だよー」


「3人とも、練習に戻る時間だよー!」


個室のドア越しに声が聞こえた。


「えー、まだまだ叩き足りないよー」


「うんうん! 足りないー!」


さっきまで僕の尻を叩いていた少女たちは不満げだ。


「どうせあと3周は回ってくるから心配ないって!

 ほら、早くかわってかわって!」


扉が開き、少女たちが入れ替わる。



1年生が2時間かけて基礎練習をする横。

僕は2時間ひたすら尻を叩かれることになったのだ。


開始からまだ30分。

僕の肉体と精神はすでに限界を迎えていた。

しかしそんなことは関係ない。

女子バレーボール部1年生によるお仕置きは、無慈悲に続くのだった。


「あ…………あ……、ゆ……ゆるして…………」


「うるさいばーか♪」


「ほら、ケツあげろって!」


――――バシィン! バシィン!


「あああっ! いだっ!

 ご、ごめんなざいっ! ごめんなざいっ!」


「あはっ! 超ウケるー!」


「マジださいんだけどー!」


―――バシィン! バシィン!


お仕置きは延々と続いた。

僕は結局2時間休む間もなくお尻を叩かれ続けた。





「ちゃんと歩けよ、このノロマ!」


「ぐすっ……、ぐすん……」


僕は1年生部員に両脇を抱えられ、女子トイレから連れ出された。

お仕置きによる激痛で、僕はまともに歩くこともできなくなっていた。


「ねぇ、なにあれ……虐め?」


運の悪いことに、たまたま通りかかった女子生徒にその現場を目撃されてしまった。


「女子トイレから出てきたよ……

 でもあの人男子バレー部のキャプテンじゃない?」


「うわ、ほんとだ……

 あの人、1年女子に虐められてるんだ……かっこわるぅ……」


関係ない女子生徒にまで軽蔑の目を向けられてしまった。


「ほら、かっこわるいって言われてるよ?

 おまえウチらの後輩なんだからもっとシャキッとしなよ!」


「そうそう! 先輩に恥をかかせる気?」


1年生部員たちは僕を辱めようと、わざわざ大声でそんなことを言った。


「ぷっ! あの人後輩なんだってよ!」


「えー! ありえなーい! きもーい!」


無関係な女の子たちすら僕を馬鹿にする。

消えてなくなりたい思いだった。


「ほんっとアンタってヘタレだよね!

 よくそんなんでキャプテンなんて名乗ってたね! 信じらんない!」


「いつまで泣いてんの?

 男ならしゃきしゃき歩けよ!」




1年生部員たちは僕を引きずるようにして体育館へ連れて行った。

2、3年生部員たちからの軽蔑の眼差しが僕を迎える。

1年生相手にボロボロに泣かされた僕を、女子バレーボール部員全員が見下していた。


「たっぷりお仕置きされたみたいだね」


美香ちゃんが僕に話しかけてきた。


「沙織先輩の指示で、あゆむ先輩の指導は1年生が受け持つことになったから。

 1年生の言うことを良く聞いて、いい子にしてるんだよ? わかった?」


地獄の日々はまだまだ続く。



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